おだやかに

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南北に細長く、地形と気候の変化に富み、四季を織りなす日本。
日本人は古より、自然の営みに繊細な「色」を感じとり、
ひとの営みに生かしながら、和の文化を育んできました。

「日本の伝統色」は、空の色、木の色、草の色など、
奥ゆかしく美しい響きで表現した和語、まさに「もののあはれ」
自然の恵みに感謝する、先人の和の心が感じられます。

空や木や草を愛でる、私たちも「日本の伝統色」に学び、
黒漆を塗った漆黒ではない、木目を透かした黒を「墨(すみ)」
紅や朱ではない、時を経て鮮やかに移りゆく赤を「緋(あけ)」
と「漆の器」の色名にしています。

薄っすら透ける木目は、森で刻まれた年輪、それぞれの木の表情。
使いこむほどに深まる風合いは、生きている素材ならではの魅力。
「墨」と「緋」に染め、漆を塗り重ねた色は「いとをかし」
今の暮らしと食彩に寄り添う、おだやかな色合いを大切に。

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