丘の上に立つ
恵みの雨が続く季節。
御牧ヶ原をぐるりと走って、丘の上に立つ、一本の木に会いに行きました。
雨に洗われてとびきり澄みわたる空、明日への希望ふくらむ飛行機雲。
ここは小諸市境を少し越えた、日本一のクルミの産地、東御市(とうみし)。
栽培に適した気候で、明治・大正時代から育てられている木が点在しています。
田園風景の中にぽつんと立ち、その木陰は、ほっとひと休みする憩いの場所。
森の中で、自然淘汰され、生き残ってきた野生の木と違い、
畑の中で、ひとの営みと共に、大切に栽培されてきた木は、
堂々とした枝ぶりも、どこか優しげで、人懐っこさを感じます。
木と言っても、その生い立ちはさまざま。
たくさんの実を落とすために生まれ、年輪を重ねてきた胡桃(くるみ)の木は、
丘の上に立ち、ひとの暮らしを見守りながら、やがて樹命を迎えるのでしょう。