ちいさな種から_ウワミズザクラ

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そろそろ花が咲くかな?
信州小諸に桜便りが届いた4月初、まだまだ遅霜に凍えながら、そんな話をした数日後。
この丘に根ざすと決めた年に植樹した野生種の桜に、ウワミズザクラの蕾が!
その樹皮から山桜と育ててきましたが、サクラ属でも種が違う「上溝桜」だったとは~♡

こちらも前職時代の話ですが、
由緒あるお社で樹命を迎えた献木を生かす、という仕事に携わった時のこと。
トラックに積まれた原木の洞 (うろ) に、ちいさな種から芽生えた息の緒が!
このまま製材所に行けば尊い命が絶たれてしまうと、指先でつまんで苗木用ポットへ。

あれから10数年を経て、小指の第一関節ほどだったちいさな命は、
いつしか私たちの背も、八ヶ岳の頂も越えて、今春はじめて花を咲かせました。
森づくりでは、生態系を壊さないよう、その土地に植生する在来種を植樹していますが、
御牧ヶ原にも自生するウワミズザクラなら、この丘へ深く根ざすだろうと安堵しました。

樹齢100年にもなる木と対話し、飛騨の匠を継承する熟練職人と励んだ日々を振りかえり、
きっと空の彼方で微笑んでいらっしゃる…と、空へ続く梢を見上げました。
園芸種の華と違い、清楚で可憐な花は、野山に生きる姿を諭すかのように、
「木」と向き合う仕事は「年輪を重ねる」ことと、喜びもひとしおの春となりました 🌳

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